富士少年希望少女合唱団 技術指導 菊池 靖 さん
パートはどのように決めればいいでしょうか?
パートは高い声が出る、出ないで決めることではありません。
以下の点を注意して決定していきましょう。
1.声の質によってソプラノ・アルトを決めるようにしましょう。
2.音量バランスは、主旋律でない場合には、アルトがソプラノより少し弱い方がいいでしょう。
※アルトが強いと合唱になったときに汚く聞こえてしまう
3.男女の比率は、高い声が出ないからといって、男子が圧倒的にアルトにいるというのはいけません。
4.男の子のソプラノというのは、女の子より響くし、透明感があると思うので、声が出るように育てていくようにしましょう。
音程のとれない子はどうしたらよいでしょうか?
まずは、音程感覚に慣れさせることが大切です。
きちっと音程のとれる子の間に並べるなど、音程感覚に慣れるような環境の中で、練習できるようにしてあげましょう。
音程感覚が慣れるのは、時間がかかるので決して焦らずに粘り強く指導していきましょう。
元気に歌うには?
「元気に!」との声に、ついつい怒鳴ってしまうことがあるかもしれません。
「元気」ということは、怒鳴ることではないことを教えてあげましょう。
息のスピードと腹筋の使い方で、勢いのある大きい響きのある声が出ることを教えていきながら、自信をもって元気良く歌えるように指導していきましょう。
※息のスピードがないと、元気のない、弱々しい声になってしまうので注意しましょう。
どのように曲を作りあげていったらよいでしょうか?
曲を作り上げる時のポイントは
1.歌詞のイメージを大切にする。
2.メロディを何回も歌い、そこから作曲者の意図を感じとる。
3.曲の仕組みを理解する。
4.テンポ(速度)を大切にする。
5.フレーズや強弱記号から曲のイメージや表現したいことを感じとる。
指揮について教えて下さい。
指揮者は楽譜を見て、歌う曲についてどのような演奏をしたいか?
ということを、事前にある程度明確にイメージしておくことが大切です。
楽譜を読めない場合でも、歌詞を何度も読み込み、詩に込められた思いを
・ どこまで表現できるか?
・ どうすれば表現できるか?
・ どうすればメンバーに伝えられるか?
ということをよく吟味し練習に臨まないと、内容が薄っぺらいものになり子どもたちも飽きてしまいます。
例えば、皆さんが大好きな「Be Brave!」。歌の冒頭にある「Be Brave」をどのように歌ってほしいかを考えるだけでも、練習の内容がガラッと変わるかもしれません。
楽譜に書いてあるから、そういう歌だからと歌うのではなく、演奏する側のものとして、「私たちはこういうメッセージを伝えたいからこう歌いたい!」とイメージを持ちます。イメージが出来たら、それを形にするにはどう練習すればよいか?を問い続けることが大事です。
自分の体験やイメージを伝える事は非常に大事ですが、年齢的に伝わらない事もありますので、出来るだけ簡単に想像できるようにかみ砕いて伝える事ができるといいですね。
メンバーも練習に参加してくれているので、なにか刺激があれば、必ず目が輝くはずです。その子どもたちの興味を持たせるようなエピソードをいくつか探して、持っておくことが大切です。
指揮をするときのポイントは
1. どこで始まって、切って、休むかを、しっかり合図をする。
2. テンポを示してあげる。
3. 「どのような大きさで、どんな感じで歌ったらいいか」
「音程やリズムが合っているか」
「どんなバランスでハーモニーしたらよいか」
等を判断してあげる。そして、音楽を子どもたちから引き出してあげる。
4. 基本的に、右手はテンポやリズム、拍子などを示し、左手はメロディやフレーズ、強弱など音楽性を示していくなどの役割分担となります。
しかし、お互い一緒の時もあれば、反対の時もあるため、自由に表現して、子どもたちに指揮者がどのようにしたいかを伝えていくよう心がけていきましょう。
楽しく歌えるにはどうしたらよいでしょうか?
声を気持ちよく出せるようになることが大切です。
歌詞やメロディに感情移入ができるようになることや、歌うことになれて、短い歌(やさしい歌=比較的時間をかけず歌えるようになる曲)と比較的持続して歌う曲を並行して歌うようにするなど、練習を楽しく行っていけるように心がけていきましょう。
歌唱指導者がいないため、CDにあわせて歌う練習が中心ですが、どう教えてよいか悩んでいます。
合唱団の目標や、やりたいことを明確にしましょう。
少年少女部のメンバーに、何をどのように歌ってほしいかを決めることで、練習内容はいくらでも広がると思います。
CDの練習であっても、不安に思う必要はありません。楽譜が読めなくても、いろんな練習方法が考えられると思います。知恵をふり絞り、楽しく、意味のある練習を考えましょう。
練習中にメンバーの集中力が無くなる時がありますが、どうしたら集中力を保たせることが出来るでしょうか?
小学生が集中できる時間は、30〜40分が限界です。そのタイミングで休憩を入れるなど工夫が必要です。
もちろん集中力が切れる時間に個人差はありますが、子どもたちに問題を押しつけず、自分の問題として捉えましょう。つまり、面白い練習内容ではないから、子どもたちは集中をしてくれないのです。これは私たち大人も同じですね。子どもたちの行動は、私たちの鏡です。子どもたちの興味を惹くような内容を盛り込んでみましょう。
練習内容について、必死で祈り真剣に考えないと見抜かれてしまいます。
是非、真剣に挑戦していきましょう。
練習中に別なことをしている子がいて、注意をしようと思ってもなかなか怒ることが出来ません。どう接したらよいでしょうか?厳しく怒っていいのでしょうか。
もし、真剣に何かをやろうとしている仲間がいて、それを邪魔するようなことをしている子がいたら、「怒る」というよりも、「指摘」するべきです。
子どもは、大人の行動を我々以上に気にして見ています。時には、どのラインで怒るかを見極めていることもあります。
感情的に怒るのではなく、指導者としての責任感で指導をするわけですから、私たちも真剣に臨まなければ、子どもには一切伝わりません。その結果、軽く見られて言い訳ばかり言うようになります。
もし、そうなっている場合は、よく相談しながらこちら側の対応を見直した方が良いかと思います。
部活や習い事で、練習になかなか参加が出来ていない子がいます。
そのようなメンバーにどう関わったらよいでしょうか?
本来なら入団の際に見極めることだと思いますが、新生活が始まってから、起きてくることも多いと思います。
まずは、本人の意志を尊重し、保護者の方とも相談して活動について確認することが必要だと思います。
本人がやりたいと言っているのであれば、出来る限りのフォローをして応援してほしいと思います。
しかし、全て簡単ではないですし、メンバーの将来を左右する事でもあると思いますので、真剣に対応していきたいですね。